Google Workspace(旧G Suite)

共有範囲の誤設定 そのファイル、漏洩してるかも!? 権限設定のポイントを解説

簡単に他のユーザーと共有や共同編集ができる Google のファイルは、とても便利な反面一歩使い方を誤ると情報の漏洩を引き起こす可能性があります。
安全に Google のファイルを活用するためには、共有時に正しい権限設定を行うようにしましょう。
この記事では大切な情報の漏洩を防ぐための権限設定のやり方について説明します。

他のユーザーと共有できる Google ファイル一覧

まずはじめに、他のユーザーと共有や共同編集ができる Google のファイル一覧を確認しておきましょう。

サービス 機能詳細
Google ドキュメント コラボレーションに最適な文書作成・表計算・プレゼンテーションツール
Google スプレッドシート
Google スライド
Google フォーム 公開可能なアンケートフォーム
Google Keep オフラインで使えるメモ帳
Google サイト サイトを簡単に作成できる
Google グループ 特定のグループでフォーラムやメーリングリストを作成できる
Jamboard 共同作業に適したデジタルホワイトボード

Google ファイルを共有する際は権限の使い分けを

Google のファイルを利用するにあたって、まずどのような権限の種類があるのか知っておきましょう。
この記事では、Google スプレッドシート・ドキュメント・スライド(この記事ではまとめてビジネスドキュメントとします)と、若干設定が特殊な Google グループそれぞれの権限について説明します。

※この記事では有料の Google ワークスペースユーザーが利用できる権限について説明しています。

閲覧権限・編集権限とは

まず理解しておきたいのが、Google のファイルの権限には 「閲覧者」 ・ 「閲覧者」 (コメント可) ・ 「編集者」 の3種類があるということ。違いは下記の通りです。

  • 「閲覧者」 はファイルを閲覧のみできる権限
  • 「閲覧者」 (コメント可) は閲覧+ファイルにコメントを入れられる権限
  • 「編集権限」 はファイルの内容を編集できる (コメントも可) 権限です。

それを踏まえた上で権限の設定を行うようにしましょう。

【ビジネスドキュメント】 特定のユーザーと共有する方法

Google ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドのビジネスドキュメントの基本的な権限設定のやりかたを説明します。
まずは特定のユーザーとのみ共有する方法を説明します。

  1. パソコンで、Google ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドのいずれかにアクセスし、右上の「共有」をクリック。
  2. [ユーザーやグループと共有] で、共有相手のメールアドレスを入力します。

    ※あらかじめ Google グループを作成しておくと、グループに登録しているメンバーとまとめて共有できます。

    Google グループについて詳しくはこちら

  3. 共有相手がドキュメントに対して行える操作を変更するには、右側にある下向き矢印をクリックし さらに [閲覧者]、[閲覧者(コメント可)]、または [編集者] をクリックします
  4. 通知を送信するかどうかを選択します。

    ドキュメントを共有したことを共有相手に通知する場合は、[通知を送信する] の横にあるチェックボックスをオンにします。

    メールで通知する場合は、入力したすべてのメールアドレス宛に通知メールが送信されます。

    共有相手に通知しない場合は、チェックボックスをオフにします。

  5. [送信]をクリックします。

    組織外のメンバーと共有を行う場合、「組織外のメンバーと共有しますか?」というポップアップが表示されます。組織外のメンバーと共有しても問題のないファイルであれば「このまま共有」をクリックしましょう。

【ビジネスドキュメント】 ファイルへのリンクを共有する方法

ファイルへのリンクを他のユーザーに送信すると、リンクを知っている全員がファイルを使用できるようになります。

  1. パソコンで、Google ドライブ、ドキュメント、スプレッドシート、スライドのいずれかにアクセスし、右上の「共有」をクリック。
  2. [リンクを取得] →[変更]をクリックします。
  3. ファイルの共有相手を選択します。

    組織名が表示されている部分の下矢印をクリックすると「制限付き」「株式会社〜(自分が所属している組織名)」「リンクを知っている全員」と表示されます。

    ・ 「制限付き」を選択した場合→追加されたユーザーのみが、このリンクから開くことができます

    ・ 「株式会社〜(自分が所属している組織名)」を選択した場合→このリンクを知っているこのグループのメンバー全員が閲覧できます

    ・ 「リンクを知っている全員」を選択した場合→このリンクを知っているインターネット上の全員が閲覧できます

  4. 共有相手を選択したら、「リンクをコピー」をクリックします。メールなどにペーストして共有をおこないましょう。

【ビジネスドキュメント】 Google ユーザー以外でも権限をつけられるビジター共有機能

以前は Google ユーザー以外と Google のファイルを共有する場合は「リンクを知っている全員」に設定しなくてはなりませんでしたが、2020年のアップデートで Google 以外のメールアドレスにも権限を与えて共同編集できるようになりました。

Google ユーザーではないユーザーと Google のファイルを共有する「ビジター共有」の手順を説明します。

ビジター共有の手順

【送信側が行う手順】

  1. 「共有」ボタンをクリックし、ダイアログが開かれたら「ユーザーやグループを追加」に Google アカウントではないメールアドレスを入力します。
  2. 「送信」をクリックすると「Google 以外のアカウントに共有しますか?」という注意文が表記されます。内容に問題がなければ「このまま共有」をクリックしてください。

【受信側が行う手順】

  1. ファイルが共有されたビジターユーザーにはメールが届きます。「スプレッドシートを開く」をクリックしてください。
  2. ファイルを開いたら、右上の「登録して編集する」をクリックします。
  3. ユーザーの登録を行います。まず、メールアドレス(Google のアドレスではないもの)とパスワード(新規設定)を入力してください。
  4. ビジターのユーザー登録を行い、「次へ」をクリックします。
  5. メールに確認コードが届くので、入力し「次へ」をクリックしてください。
  6. 次に携帯電話番号の認証を行います。自身の携帯番号を入力し、SMSに届いた確認コードを入力し、「確認」をクリックしてください。
  7. 追加の情報を登録し、「確認」をクリック。最後に規約などを確認します。
  8. ビジターユーザーとして共同編集ができるようになりました。Google ユーザーと同様の操作を行うことが可能です。

Google グループの権限について

Google グループとは、簡単に説明するとメーリングリストを作成したり、オンラインのフォーラムを立ち上げることができるサービスです。

Google Workspace ユーザーが新規でグループで作成をした場合、組織内のメンバーまたは招待された特定のユーザー以外の外部に公開されることはありません。(下図参照)
ただし、個人アカウントで作成した Google グループは情報が漏洩するリスクが考えられます。(後述)

Google Workspace ユーザーの Google グループプライバシー設定画面

個人アカウントで作成した Google グループは情報漏洩に要注意!

さきほど説明した通り Google Workspace ユーザーが作成した Google グループがウェブ上の誰でも閲覧可能になるということはありません。
ただし、無料の Gmail ユーザーが作成した Google グループはプライバシー設定を間違えると投稿が誰でも閲覧可能になってしまいます。

グループ作成時にプライバシー設定を行う際、

  • グループを検索できるユーザーを「グループメンバー」
  • グループに参加できるユーザーを「招待されたメンバーのみ」

を選択するなどで情報漏洩対策を行いましょう。

【ケーススタディ】 Google のファイルの情報漏洩を防ぐための対策とは

最後に、実際に Google のファイルの設定を誤って情報が漏洩したケースをご紹介します。
漏洩を防ぐためにどのような対策を取るべきかも説明するので、機密を扱う仕事をしている方はぜひ参考にしてみてくださいね。

【ケース1】 コロナ陽性者の個人情報9500人分が流出。Google ファイルのアクセス権を誤って公開状態に

福岡県が管理していた新型コロナウイルス感染症の陽性者9500人分の氏名、住所などの個人情報が外部から閲覧できる状態だったと発表しました。
閲覧できる状態だったのは、県内でこれまで確認された陽性者ほぼ全員の氏名や住所の他、年齢、性別、症状などの情報を記載した内部文書。2020年4月から県が作成、管理していた複数のファイルを Google ドライブに保存し、医療従事者と入院患者の受け入れ調整をやりとりする際に使っていたそうです。
該当のファイルは、リンクのURLを知っていれば誰でも個別のファイルにアクセスできる状態が続いていたと発表されています。

【対策】

ファイルを共有する際、ファイルの共有相手を限定する

  • 共有できるユーザーを「制限付き」(権限が与えられたユーザーのみ共有できる)、または自分が所属している組織に限定する
  • Google アカウントを持っていないユーザーと共有する場合はビジター共有を利用する

【ケース2】 Google グループでのやりとりがウェブ上で誰でもアクセス可能な状況に

聖マリアンナ医科大学病院は、看護師7人が業務連絡のために Google グループを個人的に利用し、閲覧権限の設定ミスで患者情報などが外部より閲覧できる状態となっていたと発表しました。
看護師が個人的に Google グループを開設し、申し送りといった看護業務の効率化のため、これまで看護師7人がメール機能を業務連絡に利用していたというもの。
閲覧権限がウェブ上のすべてのユーザーに公開される設定になっており、2020年12月20日に外部から同大へメールで指摘が寄せられ、問題が判明しました。
同グループ上でやり取りされたメール278件が閲覧できる状態となっており、同院で調査したところ、患者5人に関して姓や断片的な情報が流出した可能性があるそうです。

【対策】

個人アカウントで Google グループを作成した場合、適切なプライバシー設定を

この記事でも説明した通り、Google Workspace ユーザーが作成した Google グループは誰でも閲覧可能な状態になることはありません。
ただし、個人の Google アカウントで Google グループを作成した場合、プライバシー設定を行う際、グループを検索できるユーザーを「ウェブ上全てのユーザー」としてしまうとインターネット上にやりとりが公開されてしまいます。

公開したくない情報を扱う場合は

  • グループを検索できるユーザーを「グループメンバー」
  • グループに参加できるユーザーを「招待されたメンバーのみ」

に設定しておくことが重要です。

まとめ

共有が容易で、他のユーザーとのコラボレーションに最適な Google のサービス。
ファイルの共有を行う際ついつい設定を「このリンクを知っているインターネット上の全員が編集(閲覧)できます」にしてしまいがちですが、外部に漏洩したくない情報を行う際はかならず特定のユーザーのみ共有できる状態にしておきましょう。