【2022年版】メンバーが退職!管理者や対象者がやるべきGoogle Workspaceアカウントの対応まとめ
公開 2019.06.04
更新 2022.03.30

手軽にファイルを共有できて共同編集ができるGoogleのツールですが、組織のメンバーのGoogle Workspaceのアカウントが削除されたらどんなことが起こると思いますか? Google Workspaceのアカウント削除とともに、大事なファイルもなくなってしまった! ということがないよう、Google Workspaceの管理者や利用メンバーはトラブルに備えておく必要があります。
退職の前に!Google Workspaceのアカウントが削除される前にやっておくこと
チームでファイルの共有や、共同編集ができるGoogleドライブ。導入している企業にとっては、もはやビジネスに欠かせないツールなのではないでしょうか。 とても便利なGoogleドライブですが、組織メンバーのGoogle Workspaceアカウントが削除されたらどんなことが起こるか、しっかりと理解を深めておきましょう。
Google Workspace のアカウントが消えたらこんなことが起こる!
おそろしいことに、Google Workspaceのアカウントが無くなると、そのユーザーのが作成したデータはほぼすべて削除されてしまうのです。 具体的に、Google Workspaceのアカウントを削除すると、おもに以下のデータが削除されます。
- Google Workspace のデータ すべての形式のファイル(共有ドライブ内のファイルを除く)
- Gmail、Google カレンダーのデータ(共有カレンダーを除く)。
- Google サイトのページ
- Google Play デベロッパー アカウント
- ブランド アカウント(Youtubeチャンネル)のアセット 他にもオーナーがいる場合、アセットは別のオーナーの Google Workspace アカウントに自動的に移行されます。
- Google データポータルの 削除されたユーザーが所有していたレポートとデータソース
※一部のデータ(ユーザーが作成したグループなど)は削除されません
大切なファイルやフォルダが削除される前に、あらかじめ対策を立てておくことが大切です。
こちらの記事では、前半は退職するユーザーができる対策、後半は管理者ができる対策に分けてご紹介します。
【退職者向け】アカウント削除の前に、重要なデータを譲渡しよう
ここでは、日常的に利用される頻度が高い
- Google Workspace のデータ すべての形式のファイル(共有ドライブ内のファイルを除く)
- Gmail、Google カレンダーのデータ(共有カレンダーを除く)。
上記サービスの譲渡の方法を紹介していきます。
【退職者向け】退職するユーザーがGoogleドライブで作成したフォルダやドキュメントの権限を譲渡する方法
退職するユーザーがデータのオーナー権限を実施する場合は、下記の手順で行うことができます。
この方法は、主に Google ドキュメント ⁄ Google スプレッドシート ⁄ Google スライド ⁄ Google フォーム ⁄ Google サイトに有効です。
- マイドライブを開きます
- 他のユーザーにオーナー権限を移行したいファイルやフォルダをクリックして、[共有] または共有アイコン をクリックします。
- 「ユーザーとグループを共有」の画面表示されたら、オーナー権限を譲渡したいユーザー名の右にある下向き矢印 ▽ をクリックします。
※オーナー権限を譲渡したいユーザーが表示されない場合は新たにユーザーを追加してください。 - プルダウンから[オーナー権限を譲渡] を選択したら、 「このユーザーをオーナーにしますか?」というメッセージが表示されるので「はい」を選択します。ユーザーやグループと共有に画面が戻ったら、[完了] をクリックします。
オーナー権限が変更されました。
ヒント:
【管理者向け】管理者ができるデータの移行方法
前半では退職する一般ユーザーができる対策について書いていきましたが、後半では管理者が行うデータの移行方法について紹介します。
【管理者向け】Googleドライブで作成したフォルダやドキュメントの権限を譲渡する方法
この作業は、Google Workspaceを管理の管理コンソールで特定のサービス設定ができるサービス管理者と、組織のアカウントのあらゆる側面を管理できる特権管理者が行うことができます。 管理者ロールについて、くわしくはこちらをご参照ください。
サービス管理者は、組織内のユーザーが作成した Google ドライブのファイルやフォルダの共有方法を設定できます。
設定の対象となるのは、Google ドキュメント、スプレッドシート、スライド、フォルダなどのドライブに保存されているGoogleのコンテンツです。
ここでは、サービス管理者が退職するユーザーのマイドライブにある全てのファイルのオーナー権限を譲渡する方法を紹介します。
【サービス 管理者が該当するユーザーのすべてのGoogleドライブファイルのオーナー権限を譲渡する方法】
- サービス管理者が管理コンソールにログインします
- メインメニューから[アプリ]をクリックします
- [Google Workspace] > [ドライブとドキュメント] にアクセスします。
- [オーナー権限を譲渡] をクリックします。
- [権限を譲渡するユーザー] 欄に、現在のオーナーのユーザー名(削除する予定のユーザー)のメールアドレスを入力します。
- [オーナー権限を受け取るユーザー] 欄に新しいオーナーのメールアドレスを入力し、[ファイルを譲渡] をクリックします。
※譲渡後は元のユーザーにファイルの編集権限が残ります。ファイルが新しいオーナーのドライブに自動的に追加されます。そのファイルを含むフォルダの名前には、以前のオーナーのメールアドレスが付いています。
この方法を使えば、一発でデータのオーナー権限を譲渡することが可能です。
【管理者向け】特権管理者が退職者のGmailを移行する
このタスクを実行するには、特権管理者としてログインする必要があります。
【特権管理者とは】
管理コンソールと管理 API のすべての機能へのアクセス権があり、組織のアカウントのあらゆる側面を管理することができるユーザーを指します。 また、すべてのユーザーのカレンダーと予定の詳細に対しても完全なアクセス権があります。
ここでは、特権管理者がデータ移行サービスを利用して退職者のGmailをほかのユーザへ移行する方法について書いていきます。
- 特権管理者が管理コンソールにアクセス
- 左メニューの アカウント>データの移行を選択
- ページが遷移したら「データの移行を設定」をクリック。
- 「移行元の接続の設定を行います。」というページが表示されたら、[移行元]リストから「Google Workspace」を選択し、「開始」をクリックします。
- [移行の開始日] でいつごろのメールから移行するか開始日を選択します。
この日付から最新の日付までのメールが移行対象になります。移行は、最新の日付から順に行われます。
[移行オプション] で、下記のチェックボックスに必要に応じてチェックを入れます。- 削除済みメールを移行する。
- 迷惑メールを移行する。
- 移行対象から除外するフォルダを選択する。
- 上記選択が完了したら「ユーザーの選択」をクリックします。
- 「移行を開始」というポップアップが表示されたら、移行先のメールアドレスと、移行元のメールアドレスを設定し、「開始」をクリックします。
移行完了後は、移行先のユーザーのGmail にて[移行元のメールアドレス名]にてラベルが作成され、そこに移行元のメールが格納されます。
【管理者向け】アカウント削除の際にデータを転送・移行する方法
ユーザーのアカウントを削除するタイミングで、データを移行することも可能です。 この作業は、ユーザーの管理ができるユーザー管理者と、組織のアカウントのあらゆる側面を管理できる特権管理者が行うことができます。 管理者ロールについて、くわしくはこちらをご参照ください。
このやり方はGoogle ドライブのファイルだけでなくGmailやGoogle カレンダーも他のユーザーに権限譲渡ができます。
【ユーザーを削除するときに、Googleのデータを移管する方法】
- ユーザー管理者が管理コンソールにログインします。
- [ユーザー]>[ユーザーの削除]をクリックします
以下の通り、ユーザーを削除する手順を踏みます。
- 「ユーザーを削除」というポップアップが表示されるので、削除するユーザーのメールアドレスを入力し、「続行」をクリック。
- この画面で削除するユーザーのメール、Google カレンダー、Googleドライブなどのデータを転送・移行します。
ここでデータ転送・移行できるのは下記になります。
- Gmail のデータ
※ここは削除するユーザーがいままで受信したメールを別のユーザーに転送する設定を行えます。ユーザーを削除した後に受信したメールを別のユーザーに転送する場合は、[受信メールの転送を設定する]から設定が可能です。
- ドライブとドキュメントのデータ
- カレンダー
- ブランドアカウント(Youtubeチャンネル)
- データポータル
- Gmail のデータ
- 最後に[ユーザーを削除]をクリックしたら他のユーザーにデータが移行され、退職するユーザーのアカウントが削除されます。
【管理者向け】Google Workspaceのアカウント削除後もデータの復元は可能
万が一、Google Workspaceのアカウントを削除した後にデータが消えてしまったことに気づいてしまった!というアクシデントがあってもご安心ください。
特権管理者ならアカウントが削除されてから20日後までならアカウントを復活させてデータを復元することが可能です。
20 日間を経過するとデータは完全に削除され、Google Workspace サポートでも復元できなくなります。
アカウント削除に伴って消えたデータを復元する方法
- 特権管理者が Google 管理コンソールにログインします。
- 管理コンソールのトップから、[ユーザー] ブロックの「管理」をクリックします。
- 「その他オプション」のプルダウンから「最近削除されたユーザー」を選択します。
- ユーザーにカーソルを合わせ、 [復元] をクリックします。
Google 公式ヘルプページより引用
- 確認メッセージを確認 次に [続行] をクリックします。
- ユーザーを割り当てる組織部門を選択したら、[復元] をクリックします。
注: この変更が反映されるまでに、最長で 24 時間ほどかかる場合があります。
これで削除されてしまったファイルを復元することが可能になります。
復元がされたらデータのバックアップや、権限の譲渡を速やかに行うようにしましょう。
【管理者向け】Google Valutはどうする?
重要:共有ドライブは、 Google WorkspaceのBusiness Plus、Enterprise、Enterprise Essentials(ドメインの所有権を証明済みの場合のみ)、Education Fundamentals および Plus の各エディションで利用が可能です。
Google Valutとは、会社にとって重要な情報を保持し、それを閲覧・検索可能な状態にするサービス。
所属組織のデータのアーカイブや電子情報開示のニーズに対応できます。
退職者のデータを引き続き Google Vault で保持する場合、Google Workspace管理者はそのユーザーのアカウントを削除ではなく停止にする必要があります。
停止したアカウントのメールデータは保持されますが、アカウント宛のメールは受信できなくなります。ただし、停止アカウントはアクティブなアカウントと同じく料金がかかります
【最後に】共有ドライブ運用もおすすめ
Google Workspaceのアカウント削除に伴うデータ移行の方法を紹介してきましたが、そのほかに普段から共有ドライブを運用しておくという方法もあります。
共有ドライブとは
重要: 共有ドライブはBusiness Standard および Plus、Enterprise、Education Fundamentals、Standard、Teaching and Learning Upgrade、Plus、Nonprofits、Essentialsで利用が可能です。
共有ドライブは、チームで共有するファイルを保存するためのスペースです。
ここにファイルを保存しておけば、チームのメンバーはいつでもどこでもファイルの保存や検索、ファイルへのアクセスを簡単に行えます。
共有ドライブ内のファイルは、個人ではなくチームに属します。メンバーがいなくなってもファイルはそのまま残るため、チームで引き続きそのファイルを使用して作業することが可能です。
共有ドライブの使い方
- Google ドライブを開いたら、左側にある [共有ドライブ] をクリックします。
- 上部にある 新規 をクリックします。
- 名前を設定し、[作成] をクリックします。
Googleラーニングセンターより引用
共有ドライブを作成したら、参加するメンバーを招待しましょう。
共有ドライブ内に作ったファイルはすべて共有ドライブがオーナーとなります。
このように共有ドライブを作成して運用すれば、ファイル作成者のGoogleアカウントを削除してもファイルが消えないのが特徴です。
もし退職などで共有ドライブのメンバー全員のアカウントが削除されたした場合は、データ自体はクラウド上に残りますがどのユーザーからもアクセスできない状態となります。
全てのアカウントを削除する前に、別のユーザーに管理権限などを共有するようにしましょう。
まとめ
組織のメンバーの退職は常に起こりえることです。
退職に伴ってGoogle Workspaceのアカウントが削除されたらどんなことが起こるのか、まずは社内でリテラシーを周知することが重要です。
その上で、データの損失といった深刻なトラブルが起こる前に、しっかりと対策をたてておきましょう!