もはやキーボード不要?! Google ドキュメント音声入力の実力を検証してみた
公開 2018.09.25

Google ドキュメントの音声入力について
Google ドキュメントは Office の Word と同じと思っている人も多いのではないでしょうか。しかし複数のユーザーが同時に編集、共有できるなど実は Word 以上に便利なサービスなのです。今回は、Google ドキュメントの音声入力機能(PC・スマホ)と会議の議事録作成や取材音声の文字起こしでの活用方法をご紹介します。
Google ドキュメント音声入力(PC編)
【STEP1】 Google ドキュメントを開く

Google Chrome ブラウザで Google ドキュメントを開きます。
音声入力機能は Google Chrome ブラウザのみで使用できます。
【STEP2】 マイクを表示


【ツール】 → 【音声入力】 の順にクリックすると、マイクボックスが表示されます。
【STEP3】 マイクのオン・オフ

話す準備ができたらマイクをクリックし、音声入力をオンにします。(赤いマイク)
話し終わったらマイクをクリックし、音声入力をオフにします。(黒いマイク)
ショートカットキーでもマイクの表示、マイクのオン・オフが可能です。
ショートカットは(Mac) 「⌘ + shift + S」 、(Windows) 「Ctrl + Shift + S」。
【やってみると】

句読点は音声入力できないものの、入力ミス、変換ミスなく入力できました。

句読点を追加したい場合や入力ミス、変換ミスがあった場合は、カーソルを該当箇所に移動して修正できます。マイクは音声入力オンのままでOK。
修正が終わったら、次に入力したい場所へカーソルを移動し、話しつづければ音声入力を継続できます。
※PC の種類(ノート/デスクトップ)や端末の仕様によっては、内蔵マイクが無い場合があります。その場合は個別に用意し、接続と設定を行いましょう。
【PCで音声入力を使用する際のポイント】
- はっきりと話す
はっきりと滑舌良く話すことでより正確に入力できます。
長いセンテンスの場合は、適宜ポーズをおいて話すのも入力精度を高めるコツです。 - 句読点・記号は個別に入力する
句読点や記号の音声入力は日本語非対応となります。
入力ミス、変換ミスの修正とあわせて、句読点や記号を補うとよいでしょう。 - 音声入力時は他のアプリを使用しない
音声入力中に他のアプリをアクティブにすると、音声入力がオフになってしまいます。
音声入力中は他のアプリを使用しないようにしましょう。
これらのポイントをおさえることで、かなり正確に、速く入力できました。
長文を書く際はどうしても疲れるもの。その際の疲労軽減や、アイデアを箇条書きに整理する際など、幅広く活用できるツールだと思います。
Google ドキュメント音声入力(スマホ編)
【STEP1】 Google ドキュメントを開く

Google ドキュメントアプリからドキュメントを開きます。
【STEP2】 音声入力をオン


話す準備ができたら左下のマイクをタップし、音声入力をオンにします。
話し終わったら波の部分をタップし、音声入力をオフにします。
【やってみると】

入力ミス、変換ミスなく入力できました。

次に、句読点も含めて話してみます。こちらも問題なく入力できました。
「、」 は 「てん」 、 「。」 は 「まる」 とそのまま話すだけ。 iOS の音声入力では句読点や記号、改行も音声入力できます。
入力ミス、変換ミスの修正は、一度音声入力をオフにし、カーソルを該当箇所に移動して修正します。
修正が終わったら次に入力したい場所へカーソルを移動し、音声入力をオンにすれば継続できます。
【スマホで音声入力を利用する際のポイント】
- はっきりと話す
PC と同様に、はっきりと滑舌良く話すことでより正確に入力できます。
長いセンテンスの場合は、適宜ポーズをおいて話すのも入力精度を高めるコツです。
また、マイク付きのイヤフォンを使用するのもオススメです。 - 句読点・記号・改行も音声入力する
iOS の音声入力では句読点や記号、改行も音声入力できるので、ぜひ活用しましょう。
「ちょっとめんどくさい」 という場合でも、読点か改行を入れるだけでもかなり見やすくなります。 - 複数デバイスで同時編集する
「iOS の句読点・記号・改行の音声入力機能を利用しながら、同時に編集も行いたい」 という場合は、スマホの他にタブレット端末やPCを同時に使用するのも有効です。
「細かい修正は画面の大きいタブレット端末やPCがいい」 という方も多いと思います。
Google ドキュメントは複数デバイス(複数ユーザーでも可)で同時に編集できます。
たとえば、同じドキュメントをスマホで音声入力、同時にタブレット端末で修正することも可能です。
こちらは少し慣れが必要ですが、ぜひ試してみて下さい。スマホは常に携帯していることが多いので、外出先でサッとメモをとりたい時や、散歩しながら(マイク付きイヤホンを使うなどして、スマホを注視しないようにしましょう)でも使用でき、とても便利だと思います。
何よりも、寝ながらでも素早く文章を書けてしまうお手軽さがいいですね。また、メモ用途ですと Google Keep や iPhone、Android のアプリを思い浮かべる方もいるかと思います。これらのメモアプリも音声入力できたり共有できたりと、とても便利なツールです。メモアプリと Google ドキュメントとの大きな違いは、ドキュメントとしてまとめる必要があるか無いか、にあると思います。あとでドキュメントとしてまとめたい場合のメモは Google ドキュメント、そうでない場合はメモアプリにするなど、使いわけるといいでしょう。メモアプリの中にはリマインダー機能など、メモ用途に特化した便利機能付きのものがありますので、積極的に活用していきましょう。
音声入力の精度もあがり、活用の幅がひろがってくると、 「会議の議事録作成や取材音声の文字起こしに使えないか」 と思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、実際に試してみた結果をもとに、活用時のポイントと注意点をご紹介していきます。
検証! 議事録作成や取材音声の文字起こしに Google ドキュメントの音声入力は本当に役立つのか?
【会議の議事録】
会議の議事録は、新入社員の方が担当したり、メンバーの持ち回りで運用したりと、不慣れな方が担当することも多いと思います。
少人数の会議では司会者が議事録作成を担当する場合もあるのではないでしょうか。
このような場合の議事録用メモとして、音声入力を活用できないか、実際に試してみました。
<試した環境>
- 参加者 4 〜 5 人の会議
- 参加者が音声入力用PCを囲む
小規模の会議で、参加者ひとりひとりの声を直接ひろえる様、音声入力端末を囲んで検証してみたところ…
正直、うまくいきませんでした!
試した結果わかった特徴
- 途中で音声入力が止まる
しばらく発言がなかったり、発言者が変わると音声入力がオフになりがちでした。
- 発言者全員の音声入力には向かない
端末から距離があったり、発言者が頻繁に入れ替わると声を認識しなくなることが多いです。
- 専門用語や略語は入力精度が下がる
会議では專門用語や略語を用いることが多いですが、入力ミス、変換ミスが増え、音声入力の精度が落ちました。
ひとつのカタカナ語が途中まではカタカナ、残りは漢字に変換されてしまうことも。 - ブラウザをアクティブにしておかないと止まる
音声入力中は Google Chrome ブラウザをアクティブ状態にしておかないと音声入力が止まるため、他のソフトやアプリを使えません。
ペーパーレス会議などで、参加者各々のPCでクラウド上の資料を参照する場合は、音声入力用に専用端末が必要です。
<どんな時に役立つか、役立てるか>
今回の結果をふまえ、役立つ場面としては、
- 会議音声をイヤフォンで聞きながら、自分でしゃべって入力する
- 自分の考えやアイデアをタイピングせずにメモしたい時
など、 「ひとりでしゃべること」 がポイントだとわかりました。
【取材音声の文字起こし】
インタビューなどの取材音声の文字起こしは手間がかかり、可能な限り効率化を図りたいもの。
取材後、忙しかったり、なかなか気がすすまなかったりと、後回しになっていることもあるのではないでしょうか。
そこで、インタビューとプレゼンの取材音声をもとに、音声入力で文字起こしができるのか、検証してみたところ…
結果、音声入力を使用することで、音声から文字にするという、いちばん手間のかかる作業の負荷を軽減できることがわかりました。音声入力しながら同時編集で補正を行うと、作業効率も格段に上がります。
また、少し工夫することで、音声入力を使用しながら移動中でも作業ができますので、ぜひ活用してみて下さい。
<取材音声の文字起こしで音声入力を使用する際のポイント>
- PC・スマホのマイクに向けて再生する
端末によっては本体で再生しながら付属のマイクで音声入力できますが、うまくいかない場合は、Bluetooth スピーカで再生してマイクへ向けてみるなど、工夫してみて下さい。
- 複数デバイスで同時編集する
録音条件や話し方によって、どうしても入力ミスや変換ミスが発生してしまいます。Google ドキュメントの同時編集機能を使用し、音声入力しながら別の端末で修正しましょう。
音声を確認しながら同時に修正することで、より効率的に作業ができます。その際は、句読点も含めて全部修正するのではなく、意味不明な変換など、後になると修正がしにくい部分を中心に対応するといいでしょう。 - PC で仮想オーディオデバイスと音声ミキサーを使用する(応用)
仮想オーディオデバイスと音声ミキサーを使用すると、PC で再生の音声をスピーカーを介さず直接音声入力にインプットでき、周囲の雑音にも影響されなくなります。
同時に PC スピーカーにも音声を再生できるので、音も確認することができます。この状態で PC にイヤフォンを接続すると、PCから音声は発生しなくなり、カフェや新幹線などでも使用できるようになります。
〜仮想オーディオデバイスと音声ミキサー使用イメージ〜
●仮想オーディオデバイス
PC 再生の音声を直接音声入力にインプットするために、仮想オーディオデバイスをインストールします。
仮想オーディオデバイスはハードを導入することなく、音声の入出力先を増やすことのできるソフトです。通常の端末設定では、PC の音声入出力先は、入力 : 内蔵マイク、出力 : 内蔵スピーカーが一般的です。
仮想オーディオデバイスを導入することで、例えば、入力 : 内蔵マイク/仮想オーディオ1、出力 : 内蔵スピーカー/仮想オーディオ1、の様に入出力先を仮想的に増やすことができます。
入力、出力先に同じ仮想オーディオを選択できるのも特徴です。
今回の場合、入力 : 仮想オーディオ1、出力 : 仮想オーディオ1、と設定することで、PC で再生中の音声が仮想オーディオ1へ出力され、同時に仮想オーディオ1へ入力(音声入力へ引き渡し)される様になります。 これでPCの再生音声を直接音声入力へインプットすることができます。
※イメージ
「PC再生音声」 → 「仮想オーディオ1」 へ出力 → 「仮想オーディオ1」 へ入力(音声入力)
●音声ミキサー
このままですと、PC で再生中の音声を聴いて確認できないので、内蔵スピーカー(イヤフォンなど)で同時に確認できる様にするため、音声ミキサーをインストールします。
音声ミキサーを導入すると、複数の音声の入出力をそれぞれ組み合わせられる様になります。
通常の端末設定では、PC の入出力先はそれぞれひとつしか選択出来ないのが一般的です。
音声ミキサーを導入することで、上記の例ですと、出力先を 「仮想オーディオ1」 と 「内臓スピーカー」 の2つを同時に設定することができます。
※イメージ
→ 「仮想オーディオ1」 へ出力 → 「仮想オーディオ1」 へ入力(音声入力)
「PC再生音声」
→ 「内臓スピーカー」 へ出力
仮想オーディオデバイスとミキサーは無料のものもありますので、検索で調べるなどしてぜひ活用してみて下さい。
<注意点>
- 途中で音声入力が止まる
音声入力の途中で、マイクオン状態でも音声を認識しないことがあります。その場合は、もう一度マイクをオフ・オンすることで認識されることがあります。
- 録音時の環境に左右される
音声入力の精度は録音時の環境に左右されます。雑音のないところで録音したり、マイクを使うなどして、できるだけはっきりと録音するようにしましょう。
- 複数人の会話には向かない
インタビューやプレゼンなど、ひとりが比較的長い時間話す場合は、音声入力も止まりにくく、精度も高いです。複数人の会話など、発言者が頻繁に入れ替わったり、笑い声や発言がかぶったりしてしまうと、うまく認識されません
まとめ
Google ドキュメントの音声入力を使用すれば、長文でも速く入力でき、キーボード入力の疲労軽減もできます。無料で利用できる Google ドキュメントに標準で備わっているお手軽さもオススメのポイントです。
難しい操作も必要ありませんので、まずは試してどんどん活用していきましょう。